黄斑浮腫:原因と活動性に合わせて治療する
黄斑浮腫は原因を特定し、OCTと見え方を比較しながら治療と検査間隔を調整します。

- 黄斑浮腫は一つの病名ではなく、ものを見る中心である黄斑に水分がたまり、網膜が厚くなっている状態です。
- 糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、ぶどう膜炎、術後炎症など原因によって治療が異なります。
- OCTで液体の量だけを見るのではなく、原因疾患と見え方を合わせて治療・検査間隔を決めます。
まず原因疾患を特定します
「OCTでむくみがある」という所見だけでは治療方法は決まりません。糖尿病黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症、炎症性疾患、術後炎症などでは、同じような網膜内液がみられても病態と再発パターンが違います。
糖尿病では微小血管からの漏出、網膜静脈閉塞症では静脈うっ滞とVEGF上昇、ぶどう膜炎では炎症が主な要因になります。黄斑上膜や硝子体黄斑牽引のような機械的牽引が加わっている場合は、注射だけでは十分に改善しにくいこともあります。

どんな症状が出る?
中心がぼやける、文字が読みにくい、直線が曲がる、左右で物の大きさが違ってみえる、色やコントラストが分かりにくいなどが起こります。軽い浮腫では症状が少ない場合もあります。
OCTで確認するポイント
網膜内液・網膜下液の位置、中心窩を巻き込んでいるか、黄斑の厚み、外網膜構造、硝子体牽引などを確認します。OCTの厚みが正常化しても、虚血や視細胞障害が強ければ見え方が十分に戻らないことがあります。
治療
原因に応じて抗VEGF薬、ステロイド、レーザー、炎症治療、硝子体手術などを使い分けます。注射治療では、反応を確認せず漫然と同じ間隔を続けるのではなく、OCTと視機能をみながら間隔を調整します。
抗VEGF
糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症に伴う中心部の黄斑浮腫では中心的な治療です。再発しやすさには個人差があるため、液体の再出現と見え方を確認します。
ステロイド・炎症治療
病態や既往によって選択肢になりますが、眼圧上昇や白内障などの副作用も考慮します。炎症性疾患では原因治療そのものが重要です。
レーザー・硝子体手術
漏出源、虚血、新生血管、牽引病変などが関係する場合に検討します。すべての黄斑浮腫へ同じ治療を当てはめるわけではありません。




最適な間隔で経過をみる
活動性の高い時期や治療開始直後は短い間隔でOCTを確認することがありますが、安定している状態で不必要に頻回な検査を続けることが目的ではありません。原因疾患、再発歴、前回治療からの経過、OCTの液体、視力変化に合わせて必要な間隔へ調整します。
一方で、過去に短期間で再発した眼、中心窩へ液体が及んでいる眼、新生血管や虚血のリスクがある眼では、安定例より短い間隔が必要です。検査間隔は「病名だけ」で決めず、その眼の活動性と治療反応で決めます。
原因別に詳しく読む
最終更新:2026年9月13日 医学的内容の確認:有田眼科 院長 有田量一
黄斑浮腫は「病名」ではなく、いくつかの病気で起こる黄斑のむくみです
黄斑浮腫は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、眼内炎症、術後炎症、硝子体黄斑牽引など、さまざまな原因で起こります。同じようにOCTで網膜内液がみえても、原因によって治療方法や再発しやすさが異なります。そのため、黄斑浮腫をみつけたら「むくみを減らす」だけでなく、背景となる病気を特定します。
OCTでは液体の場所と黄斑の構造をみます
OCTでは網膜内の嚢胞状液体、網膜下液、中心窩の形、網膜の厚み、外網膜の構造、黄斑上膜や硝子体牽引の有無などを確認します。同じ中心網膜厚でも液体の位置や外網膜の状態によって見え方は異なるため、厚みの数字だけで治療効果を判断しません。
治療間隔は「原因」と「再発の仕方」で変わります
糖尿病黄斑浮腫や網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫では抗VEGF治療が中心になることがありますが、治療反応や再発までの期間には個人差があります。炎症性黄斑浮腫ではステロイドなどが適する場合があり、牽引が主因なら硝子体手術を検討します。安定しているのに短い間隔の検査を機械的に続けるのではなく、OCT、視力、症状、治療反応に応じて最適な間隔へ調整します。
症状・検査・治療をつないで理解する
受診先を決める前に、症状の緊急性を確認。
急な飛蚊症・光視症・視野の影・急な視力低下では、早めの眼底確認が重要です。
